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実施項目 |
特徴 |
初診日 |
一般的な詳細な問診と診査
歯科恐怖症のスクリーニング |
必ず検査の必要性について説明し、同意を得ます。
問診では過去の歯科治療歴、歯科治療で気分が悪くなったことがあるかどうか、病状が進んだ原因は何か、歯科治療に対しどんな感情を持っているか、嘔吐反射の有無、今回の歯科治療への希望、基礎疾患、他科通院・入院歴、投薬歴、常用薬、睡眠障害の有無、摂食障害の有無などを必ず確かめます。
診療室への入室の段階で強い緊張を示す患者さんに対しては、プロトコールに従って歯科衛生士に質問を行わせ、歯科医師は患者さんの視界に入らない背後で患者さんに圧迫感を与えないように歯科衛生士に質問内容の指示を逐次出します。患者さんの緊張がほぐれた段階で、歯科医師が問診を引き継ぎます。
患者さんが強い歯科恐怖のために通常の歯科治療が困難な場合、歯科恐怖症の概念について説明し、歯科恐怖症は多くの人にみられるありふれた病気であること、歯科治療への強い不安感は誰でも持っているあたりまえの感情であること、しかし人により強すぎる不安や恐怖にとらわれて理想的な歯科治療を受けられなくなる場合があること、不安や恐怖のメカニズムについて説明し、歯科恐怖症の疑いがあること、歯科恐怖症を克服するトレーニングを受けるかどうかを相談します。
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主訴の解決 |
歯科恐怖症の患者さんが強い痛みなどで来院された場合、その主訴に対応することは大変困難ですが、支持的・受容的な態度を崩さずに、なんとかして痛みを取り除くか、暫間的でも主訴を解決する必要があります。
逆に言えば、この段階でもし主訴を解決できれば、その時点で曝露療法は終わっています。
リラクセーション法、怖がりスイッチ、笑気吸入鎮静法、ツボ刺激法等を活用し、なんとか主訴を解決します。
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歯科恐怖段階表の作成 |
患者さんが歯科治療をいつから怖いと思うようになったか尋ねます。
そのきっかけとなる出来事があるのか、恐怖感の強さは年齢とともに弱くなっているのか、強くなっているのか、歯科治療を受ける際、具体的にはどんな治療行為や状況が怖いのか、恐怖感から無断キャンセルや直前キャンセルを繰り返したことがあるのか等必ず質問し、次回治療予定行為が怖くて来院できない場合は恐怖感が薄れるまで治療内容を変更・延期できるので、必ず前々日までに電話で相談してほしい旨を伝えます。
恐怖の対象となる治療行為を書き出したら、そのコピーを渡し、段階別に恐怖感の弱いものから強いものへ並べるように宿題を出します。
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2回目 |
診断・治療計画の説明と
曝露法 |
歯科治療恐怖階層表の項目を声を出して読み上げてもらいます。
曝露法のメカニズムについて再度説明した上で、リラクセーション法を指導し、実際に何回も練習します。
恐怖段階の一番低い項目の診療行為を模擬的にリハーサルして、その時の感想を聞きカルテに記録します。
恐怖段階を克服するごとに小さな克服カードを患者さんに渡し保管してもらいます。
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3回目 |
脱感作の継続 |
当日来院するときの気持ちがどうであったか、以前と変化があるか尋ねます。
克服した段階ごとに治療を進め、全体の治療計画の中のどの過程であるか説明します。
次回治療予定を説明し同意を得ます。もし恐怖感のために来院できないときは、治療内容の一時的な延期や変更に応じるので必ず前々日までに連絡してほしい旨を説明します。
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治療の完了 |
メンテナンスへの移行
または高次医療期間・他科への紹介 |
適切なホームケアとメンテナスを実践することにより、恐怖感の大きい治療行為を減らすことができることを説明します。
通常の行動療法が無効な場合は遅滞なく高次医療機関へ紹介し、うつ病等の合併など薬物療法や専門的な精神療法が必要な場合は他科へ紹介します。
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