![]() 出典:今日の治療薬―解説と便覧 (2004) 水島 裕, 森田 寛著 南江堂 出典: メルクマニュアル医学百科 家庭版 出典:歯科における薬の使い方 デンタルダイアモンド社 出典:今日の治療指針 医学書院 その他 |
![]() 歯科における薬の使い方 デンタルダイアモンド社 P180より引用(神戸市民中央病院歯科口腔外科 河合峰雄氏記述) 狭心症:冠血流の減少による可逆性の虚血状態(一時的な酸素不足)であり、回復可能である。 心筋梗塞:冠動脈の閉塞による冠血流停止状態。血栓などで、冠動脈が完全に閉塞し、その先の心筋が死んでしまい、回復不可能である。 従来は、虚血性心疾患については、冠動脈の粥状硬化、プラークの増大により、冠動脈の狭窄が70〜80%に達すると、安定労作性狭心症が生じ、内腔が完全閉塞すると、不安定狭心症や心筋梗塞になると考えられていた。 しかし近年、このような発症過程を示すのは全虚血性心疾患の15%以下であることが判明した。 むしろ不安定狭心症や心筋梗塞による突然死のほとんどは、冠動脈プラーク(粥腫)の破綻による血栓形成が突然、冠動脈内腔を閉塞することにより生じる。 |
![]() 狭心症の発作発現のメカニズムは心筋の酸素需要と供給のバランスの破綻により起こる。 ![]() ![]() ![]() また一方で狭心症は発症様式により安定狭心症と不安定狭心症に分類され、不安定狭心症は心筋梗塞への移行が高いので注意を要する。 ![]() ![]() これらは急性心筋梗塞の前駆状態か突然死に移行しやすい狭心症を含み、acute coronary syndoromeと呼ばれる。心筋梗塞は急性期に30%が死亡するので、不安定狭心症は、通常、歯科治療の対象とはならない。 通常歯科医院を訪れる狭心症患者の大部分は安定性の労作性狭心症患者と考えられる。 |
![]() 1.治療なし、あるいは最小限の狭心症治療 2.慢性安定狭心症の標準的な治療中(硝酸薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬の通常料) 3.経口薬の最大量の内服、経静脈性硝酸薬の投与中 |
![]() (1)労作性狭心症 @一ヶ月以上前からあり、症状が一定している。 A一ヶ月以上前からあるが、最近発作が強い、長い、多い。 B一ヶ月以内に起き始めた。 (2)安静狭心症 Cじっとしていても発作が起こる。 @は安定狭心症、A、B、Cが不安定狭心症で突然死があるので要注意! (3)心筋梗塞の既往がある患者が歯科医院を受診した場合、梗塞後6ヶ月以上経過していれば通常の歯科治療は可能とされている。(経過が良ければ3ヶ月) (4)狭心症と心筋梗塞の症状の違いは、胸痛の程度・長さで判断する。 もし胸痛が強く長い(15分以上)場合は、心筋梗塞を疑い、バイタルサインをチェックの上、すぐに救急車を呼ぶ必要がある。 狭心症を有する患者が来院したら、 @胸痛の発現の有無 Aもっとも最近に生じた胸痛の時期 B胸痛はどのようなとき(労作時あるいは非労作時、朝・夕などの時間帯)に起こり、どのぐらい続くのか。 C胸痛発現時の対応法(ニトログリセリンなどの薬剤の種類・量・投与法) D胸痛の頻度 などを確認し、偶発症発現時の対応に備える。 (5)動悸、息切れ、夜間の咳、下肢のむくみなど心不全徴候があるもの、狭心症症状の頻度の増加、あるいは軽い労作や安静時に発作を認めるものは、不安定狭心症の可能性があり、歯科治療上のリスクが高い。すぐに内科を受診させたほうが良い。 (6)労作性狭心症で、薬剤内服中の患者は、胸痛発現時の対応に慣れている。安静位のとり方、薬剤使用法について歯科処置前に確認しておく。また家族も患者対応に慣れているので、付き添わせるといい。 (7)モニタリングは血圧、脈拍、SpO2、心電図。 心筋酸素消費量の目安としてRPP(Rate Pressure Product)を指標とし、とくに頻脈に注意する。 心電図ではST低下を消化するが、処置前から低下している場合もある。心電図モニターを使用した場合、胸痛に先立ちST低下が現れる場合があり、対応が早く行なえる。 (8)労作性狭心症で安定期であれば、胸痛が発現してもあわてなくてよい。亜硝酸剤(ニトログリセリン)を投与し、バイタルサインをチェック、状況により酸素投与し、落ち着くまで様子を見る。 ![]() ミオコールスプレー 1〜3回噴霧 ニトログリセリン 舌下錠投与 (9)観血的処置を行う場合は、抗凝血剤、抗血小板剤を投与されているか確認する。 |
![]() ![]() @酸素投与: 肺うっ血または低酸素症(動脈血酸素飽和度<90%)があることが多いので、必ず酸素投与を行なう。 マスクまたは鼻カニューレにより、2〜4リットル/分で投与し、パルスオキシメーターの値を確認しながら調節する。 A塩酸モルヒネの投与:痛みが交感神経系を活性化することから、胸痛のコントロールは重要である。 心筋梗塞の鎮痛剤の第一選択は塩酸モルヒネで5〜10mgを静注する。 Bアスピリン投与: アスピリンは急性冠症候群の治療薬として有効。急性心筋梗塞の疑いのある患者では診療の最初から投与する。 Cニトログリセリン投与: 冠血管拡張作用および容量血管拡張により左室負荷の軽減を期待して、ニトリグリセリンの舌下投与を行なう。 ただし、収縮期血圧90mmHg未満の低血圧状態、心拍数が50回/分以下の徐脈、100回/分以上の頻脈では使用すべきではない。 |
![]() 歯科における薬の使い方 デンタルダイアモンド社 P180より引用(神戸市民中央病院歯科口腔外科 河合峰雄氏記述) ![]() ![]() いずれの局所麻酔薬も2カートリッジ以下の使用量にする。疼痛や精神的因子ははるかに強い交換神経刺激作用を持つので、痛みや不安を取り除くことが重要で優先されるべきである。 |
![]() 局所炎症が強い場合は止血しにくいので、注意が必要である。 歯科における薬の使い方 デンタルダイアモンド社 P180より引用(神戸市民中央病院歯科口腔外科 河合峰雄氏記述) |