クリニカルポイント 抗菌剤:殺菌と静菌の使い分け 出典:医者からもらった薬早わかり事典 主婦と生活社 バクテリアの話 生田哲 日本実業出版社 治療薬マニュアル2004 医学書院 抗生物質の話 日本実業出版社 |
静菌作用:分裂増殖中の菌の発育速度だけを抑える作用 殺菌作用:分裂増殖中の菌を殺す作用 滅菌作用:代謝を落としほとんど休止の状態にありながら時に穏やかに分裂する半休止菌を殺す作用 強い抗生物質と弱い抗生物質 強い薬とは感染菌に対して殺菌作用を示す物で、いったん有効血中濃度に達すると目標とされた細菌は死んでしまう。主作用が強いので当然副作用も強い。細菌は薬が吸収されるたびに的確に死ぬので、多少服用時間がずれても有効性を示す。 殺菌性抗菌薬は重症感染症に適応します。 弱い薬とは感染菌に対して静菌作用と言って病原性をしずめる働きを示すもの。数回静めているうちにやがて感染性が衰えるので、結局有効ということになる。それだけ決められているとおりに正確に服用時間を守らないと効果が出ない。 静菌作用を持つ抗菌薬は、常に有効血中濃度以上に維持するように投与しなければ効果が現れません。 殺菌性の抗菌薬は増殖期の細菌に効果が大きく、静菌性の抗生物質の作用により静止期にある細菌には効果が出にくい特徴があります。従って殺菌性のセフェム系抗菌薬と静菌性のテトラサイクリン系抗菌剤を併用した場合、作用が拮抗するため有効性が低下します。 |
抗菌薬の種類 | 種類 | 作用機序 | 濃度依存性か時間依存性か |
殺菌性抗菌薬 | βラクタム系 ペニシリン系 セフェム系 ペネム系 |
細胞壁合成阻害作用 | 時間依存性 |
ホスホマイシン系 | 細胞壁合成阻害作用 | ||
アミノグリコシッド系 | タンパク質合成阻害作用 | 濃度依存性 | |
ポリミキシン系 | 細胞膜障害作用 | ||
ポリエン系 | 細胞膜障害作用 | ||
ピリドンカルボン酸系 | DNA合成阻害作用 | ||
ニューキノロン系 | DNA合成阻害作用 | 濃度依存性 | |
静菌性抗菌薬 | テトラサイクリン系 | タンパク合成阻害作用 | |
クロラムフェニコ−ル系 | タンパク合成阻害作用 | ||
マクロライド系 | タンパク合成阻害作用 | 時間依存性 | |
リンコマイシン系 | タンパク合成阻害作用 |