胎児に影響を及ぼす主な薬物出典:薬理学 鈴木正彦著 医学芸術社
薬物 分類 影響
テトラサイクリン 抗生物質 胎児・新生児の歯牙・骨発育不全
インドメタシン 抗炎症剤 催奇形性
クロルプロマジン 抗精神病薬 催奇形性
サルファ剤 化学療法剤 核黄疸(高ビリルビン血症)
チアマゾール 抗甲状腺薬 乳児の甲状腺機能低下
ニフェジピン 抗狭心症薬 催奇形性
モルヒネ 鎮痛剤 新生児呼吸抑制
ワルファリン 抗凝血薬 新生児出血傾向
ビタミンA ビタミン 催奇形性

 

受精から妊娠3ヶ月までは、主要な器官が形成され、重大な催奇形性を起こす危険があるので投薬は絶対禁忌。
患者の充分な理解と同意がある時のみ、リスクが必要性を下回るときに投薬。


先天異常の原因 (出典:今日の治療薬 水島裕編集 南江堂)
全分娩 2〜4%明らかな先天異常 65〜70%原因不明
25%遺伝的要因
3%染色体異常
3%(1〜5%)母体の環境的要因(薬剤・放射線・感染など)


胎児への薬剤の影響(出典:今日の治療薬 水島裕編集 南江堂)
@受精前から妊娠3週末まで 受精後2週間以内に影響を受けた場合には着床しなかったり、流産して消失するか、あるいは完全に修復されて健児を出産する。
この時期の投与は、残留性の薬剤以外は考慮する必要はない。残留性の薬剤には風疹生ワクチンなど生ワクチンや金チオリンゴ酸ナトリウムなどがある。
A妊娠4週〜7週まで 中枢神経系、心臓、消化器、四肢など重要臓器の発生がある。薬剤による催奇形性が起こりうる胎児がもっとも敏感な時期である。
特にホルモン剤、ワルファリン、向精神薬、ビタミンAなどに注意が必要。
B妊娠8週〜15週まで 胎児の主な器官形成は終了しているが、性器の分化、口蓋の癒合などは終了していない。妊娠4週〜7週末までの期間に比べ、薬剤の胎児への影響力は低下しているが、やはり催奇形性のある薬剤は避けたほうがよい。
C妊娠16週〜分娩まで この時期、薬剤による奇形発生はない。
胎児の機能的発育には影響する。
発育を阻止するような薬剤は避けるべきである。