ケフラールKefral 塩野義製薬
セファクロル cefaclor
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ケフラール細粒小児用、カプセル、L-ケフラール顆粒 |
第一世代のセフェム系抗生物質。 1976年にイーライリリー社研究所で開発された経口用セフェム系抗生物質製剤。
細胞壁合成阻害で殺菌的に働く。
副作用が少なく、安全性が高い薬。
1990年代に小児科でよく処方された。
PRSPやBLNARに対しては有効性が低下してきている。
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PRSP: penicillin-resistant-Streptococcus pneumonie ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
BLNAR: β-lactamase-nonproducing ABPC-resistant H. influenzae インフルエンザ菌の耐性株。最近、日本でこの耐性株による重症感染症が、基礎疾患を持たない小児で多発している。BLNARは菌が2つの細胞に分裂する際の仕切りを作る酵素、すなわち隔壁合成酵素をコードする遺伝子上に変異が生じた菌。PBPs
変異。
BLPACR: β-Lactamas positive amoxicillin/clavulanic acid resistant Haemophilus
influenzae β-ラクタマーゼ産生と PBPs 変異の2つの耐性機構により、ペニシリン系薬、セフェム系薬β-ラクタム系薬と β-ラクタマーゼ阻害剤の合剤に対し耐性を示す。
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用法・用量 通常、成人及び体重20kg以上の小児にはセファクロルとして1日750㎎(力価)を3回に分割して経口投与する。年齢、体重、症状に合わせて適宜増減する。 |
効能・効果
適応菌種
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌
適応症
歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症
外傷、熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎
咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染
膀胱炎、腎盂腎炎
麦粒腫 中耳炎 猩紅熱
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プロテウス・ミラビリス Proteus mirabilis
グラム陰性通性嫌気性桿菌の一種。プロテウス属のうちインドール陰性菌。典型的な弱毒菌。感染防御力の低下した患者において複雑性尿路感染症、腸管汚染手術後の腹腔感染、白血病などの重い基礎疾患を有する患者の褥瘡感染・敗血症などを起こす。
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禁忌 投与してはいけない患者 本剤の成分によるショックを起こしたことのある患者 |
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原則禁忌 原則的に投与してはいけないが、特に必要な場合は慎重に投与すること
本剤の成分またはセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者 |
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慎重投与 次の患者には慎重に投与すること
ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
本人または両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹のアレルギー症状を起こしやすい体質の患者
高度の腎障害のある患者
経口摂取が不良な患者、全身状態の悪い患者
高齢者
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重要な基本的注意 ショックが現れるおそれがあるので十分な問診を行うこと
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副作用 |
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー様症状(0.1%未満)
急性腎不全(頻度不明)
汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少(頻度不明)
偽膜性大腸炎(0.1%未満)
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson syndrome)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(頻度不明)
間質性肺炎、PIE症候群(頻度不明)
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
重大な副作用(類薬) 溶血性貧血
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偽膜性大腸炎:
抗生物質の使用により正常大腸細菌叢が変化し増殖した多剤耐性クロストリジウム ディフィシル(グラム陽性嫌気性桿菌)の毒素(エンテルトキシン)によって惹起される大腸炎。腸管粘膜を傷つけ偽膜を形成粘液・血液を伴う激症下痢、腹痛、発熱、白血球増多が見られ、電解質異常、脱水を伴う重症例では痙攣を伴い、数日で死亡することもある。
間質性肺炎:
国が指定した118の難治疾患のひとつ。10万人に5人の発病率。間質(肺胞の周りの壁の部分)に炎症が起き、繊維化する病気。肺胞壁が固くなり、肺全体も固くなり、肺活量が低下する。咳、倦怠感、発熱、息切れが主な症状。ステロイド療法が中心だが、完治はむつかしい。
PIE症候群:好酸球性肺炎
軽い呼吸器の症状と激しい喘息発作を特徴とし、一般的にはカビや寄生虫等がアレルゲンとなるアレルギー性肺炎と考えられているが原因は不明。治療はステロイD0剤投与。重症例では酸素吸入や利尿剤投与が行われる。
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その他の副作用
① 頻度0.1~5%未満 過敏症:発疹
肝臓:AST(GOT)・ALT(GPT)の上昇
消化器:悪心、下痢、腹痛
②頻度0.1%未満 過敏症:蕁麻疹、紅斑、掻痒、発熱
血液:顆粒球減少、貧血、血小板減少、好酸球像多等
肝臓:Al‐P上昇
腎臓:BUN・クレアチニンの上昇
消化器:嘔吐、胃不快感、胸焼け、食欲不振
その他:頭痛、めまい
③頻度不明 過敏症:リンパ腺腫脹、関節痛
肝臓:黄疸
菌交代症:カンジダ症、口内炎
ビタミン欠乏症:ビタミンK欠乏症状
(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、
ビタミンB群欠乏症状
(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
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高齢者への投与
1) 高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用が現れやすい。
2) ビタミンK欠乏による出血傾向が現れることがある。
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妊婦、産婦、授乳婦への投与 治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合のみ投与する。
授乳中の婦人には投与を避ける。やむを得ず投与する場合は授乳を中止する。
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